レキオ島唄アッチャー

変容する琉球民謡、八重山から本島へ。「真謝節」

 「真謝節」(マジャブシ)
 石垣市白保の集落内に真謝井戸(マジャンガー)がある。石の階段のある古い井戸である。歌は白保の村を褒めるとともに、この真謝井戸のことを歌っている。「シンダスリ節」とも呼ばれている。「シンダスリ」とは「可愛い乙女を見て気がよみがえる」というような意味だとのこと。お囃子の言葉が題名にされている。白保では「白保節」「ボスポウ節」とともに三大名曲とされている。
 真謝井戸の碑が建っている。碑文を紹介する。
 「寛延3年(1750)の頃、真謝村は白保から分封した。真謝井戸は当時村民の飲料水川として掘られたが、明和8年(1771)大津波によって埋められてしまった。白保真謝両村も津波のため壊滅したので、八重山の行政庁蔵元では波照間島から強制移住せしめて白保村を再建し、真謝村は廃村となった。
 真謝井戸は琉球王命により、視察のため派遣された馬術の名人馬真謝という人が、村人と共に採掘して長く村民の生活に役立てた由緒ある井戸である」
 八重山民謡、民俗に詳しい喜舎場永珣氏は、馬真謝(ウママジャ)が白保村に来たのは、流罪になったから。その理由は、馬真謝は首里城内で馬目利役を勤めていたが、王の愛妾と人目を忍ぶ仲となったのが露見したためという。
 馬真謝は白保村では、美人で歌の名人である「多宇サカイ」に惚れ、これを娶っている。村民に請われて津波で埋没した井戸を掘りおこし、石の階段をつくり、水汲みの便をはかった。
 その落成式の当日、前から歌っていたチィンダスリ節を、馬真謝が琉歌体に改作し、村民に歌わせたと伝えられている。
 
 ただし、真謝の来島については、明和の大津波の災害視察のために王の命で派遣されたという説もある。碑文は「視察のための派遣」という見解である。
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 「真謝節」の歌意は次の通り。
♪白保という村は 恵みに満ちた村で 真謝井戸を背に 裕福な村を前にしている 
 ※シュンドスリ サースリヱー(以下同じハヤシ)
♪与那の岡に登って 周りを見渡すと 稲粟の稔りは 見事に豊作である
♪稲粟の穂の色合いは 二十歳頃の娘の肌艶のように 粒が立派に稔ったので
  初穂を神仏に捧げます
♪真謝井戸に降りて 水を汲む女性の 髪が黒々と輝き 目鼻立ちの美しいことよ 
♪真謝井戸の水は 澄んでいると底を見ることが出来る これほど美しい娘の 心のうちは 
 推し量ることが出来ない
 沖縄本島では、この真謝井戸(マジャンガー)を題材にして、舞踊喜歌劇「馬山川」が作られた。とても人気がありよく踊られる。
 「真謝節」の歌詞にある「♪真謝井戸に降りて 水を汲む女は 髪が黒々として 目眉の美しいことよ」という歌詞を脚色し物語としている。
 真謝川で水汲みをする美女に惚れた醜男が美女に言い寄るが、美女には美男の恋人がいる。そこへ百姓女が洗濯にくる。最後は、美女と美男、百姓女と醜男が、それぞれ結ばれるという芝居。とても面白く描かれている。「YouTub」でもいくつかアップされている。
               
 これは、大正・昭和期の沖縄芝居で完成した歌舞喜歌劇で、伊良波尹吉(イラハインキチ)の作。スンダスリ節(真謝節)、クンヌハシ節、白保節など八重山民謡を入れている(沖縄コンパクト事典)。
 「石垣島にある真謝川の民謡を聞き知った伊良波は喜歌劇に仕立てて劇を作った」という。「馬山川」とは、沖縄であまり聞かない名称である。なぜ「真謝川(井戸)」が「馬山川」になったのか。
 「これは、伊良波が、島袋光裕に『真謝川』の筋立てを話し、それを記録してもらった。その時、島袋は『真謝川』を『馬山川』と聞き違えて『馬山川』と記録したのが、そのままになり今日まで『馬山川』でとおっているといわれている」(『琉球芸能事典』)

 「馬山川」は次のような歌意になっている。
 ナンパするために馬山川やってきた醜男、女の子がいないから 隠れて待っていようか?
 水を汲むために馬山川に降りてき美女
 そこに美男がやってきてカップル成立
 ガックリの醜男の背後に醜い女がやってきてい互にからかい合う
 エスカレートして喧嘩する二人を諌める美男美女
 自分のために美男美女がやってきたとおもう二人
 あとはひっちゃかめっちゃか
 (ネット「沖縄民謡な日常 はいさいくによし」から)
 これは、歌詞というよりあらすじにすぎない。全体の歌詞はとっても滑稽で面白いそうだ。いま手元に資料がないのが残念である。
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