レキオ島唄アッチャー

国境の島・与那国島の上納不足への対処

 与那国島の上納不足への対処
 
 与那国島では、上納米の不足にどのように対処していたのだろうか。
 首里王府から八重山に布達された『八重山島規模帳』には、次のような記述がある。
 「与那国島は土地が広く、ことに石垣島と違い御用物ならびに諸雑物手形・人夫立など少ないので、耕作に精を出し年貢・諸上納物を滞りなく納めるよう励むべきところ、百姓らは年貢米の上納は出来高によるものと勘違いし、毎度不作だなどと言って割賦高もまったく差し出さない。従って未進高が増加し、きわめておろそかにしている様子が見えるというので、石原親雲上(ペーチン)の御使者の時に、右のようなことのないよう、耕作に励み年貢や諸上納の不足がないよう納め、もし上納高に足りず未進ができた場合には、所管の百姓の役目一人が津端検者(ツバタケンジャ、港で船の積み降ろし荷を調べる役人)の帰帆船で同行し、経過を詳しく報告するよう仰せ渡されている。そこで油断なく指図し、それでも上納物が不足するならば、百姓の役目が渡海した時詳しく調査し、不都合な事があれば、規則どおりに取り扱うよう厳重に取り締まること」(1858年『翁長親方八重山島規模帳』)

 「もし、上納が調わず未納の際は、くわしく穿鑿(センサク、根掘り葉掘り質すこと)、ふとどきな落度があれば、法のとおり取り扱うよう厳重に取り締まりをすべきこと」(1874年『富川親方八重山島規模帳』)
やはり、未納に際しては厳重な取り締まりを命じている。
                 人頭税廃止百年記念の碑
   人頭税廃止百年記念の碑 
 王府時代に、与那国島は単独の間切(いまの町村)ではなく、特別行政区の扱いだった。
 納税は、住民の頭割りで人頭税が課せられていたのに、百姓は「年貢米の上納は出来高による」と勘違いし、「不作」を理由に上納分も差し出さないという理解があったとは、王府にとってゆゆしき事態だろう。離島といっても人頭税は徹底していたはずなのに。しかも豊作、凶作にかかわらず、決められて年貢を納めさせる「定額人頭税」が施行されていた。ここに人頭税の苛烈さがある。
 にもかかわらず、与那国島で「人頭税も出来高による」という都合よい解釈がなぜ横行したのだろうか。遠く海を隔てていた与那国島では、王府の政策が多少曖昧になり、行き届いていなかったとしか考えられない。

  実際に『翁長親方八重山島規模帳』は「与那国島の諸上納物は、毎年首尾(物事の成り行きや結果)書などを差し出すことになっているので、遠海を隔て在番・頭・惣横目(蔵元に配置され、行政全般・風俗・治安を監視する)は現場で指図することもなく、取り締まりに不行届きもあるという」とのべ、指導の不行き届きを認めている。
 上納不足に対して同『規模帳』や『富川親方八重山島規模帳』(1875年3月令達)は、いずれも同じような対策を指示している。

 「割符高ならびに上納が不足している者どもを詳しく個別に記し、惣出高をまとめた上で、古米・新米の積み登せ高・囲み高などくわしく「請払帳」(に記し、それ)を提出させ、勘定し、そして右の帳簿を、翌年に津端検者が持ち下り、百姓ら一人ひとりと照合し、その結果を申し出る決まりを仰せ渡されているので、ゆるがせにならないよう厳重に取り締まるべきこと」
 「与那国島の詰役が交代する際、新任者が渡島すると諸上納物取りつぐないの段取り、その外諸御用関係をくわしく引き継ぎ、そして新任者と前任者が一緒に田畑を検分し、米粟の出来ぐあいを定め、前任者は帰帆すべきこと」
 
 定められた上納ができない者は、一人ひとり個別に不足高など詳しく記して、本人と面接して照合し、その結果を申し出るよう厳重な取り締まりを命じている。これは、単に帳簿に記入しただけで終わりというのではなく、役人が一人ひとり個別に徴税を徹底することを命じたものである。
 上納不足に対しては、先に八重山全体での対処の仕方を見た通り、不足があれば借金をしても納めさせる、借金返済ができなければ家財など売払い納めさせるという徹底した徴税は、遠く離れた与那国島でも例外ではない。そればかりか、借金の利息が通常の2倍の高利が横行していた。

 「与那国島の借穀は二倍の利息を付けるため、すぐに利息がかさみ、家屋敷・牛馬・田畑などを取られ、困窮に至る者もあるといい、あってはならないことである。今後は法定の利息で賃借すること」
『翁長親方八重山島規模帳』は、「二倍の利息」を取るような行き過ぎた徴税を戒めている。高利によって百姓の利息がかさみ、家財を取られ困窮する者が増えれば、先にみたように「村が成り立たなくなる」といった状況に立ち至るからだろう。
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