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レキオ島唄アッチャー

「かいされー」の元歌は八重山の「しゅうら節」、その4

琉球旋法の起源とその特異性

 新崎氏は、さらに沖縄独自な特殊な旋法「琉球旋法(または琉旋法)」の起源に就いて考察をしている。
 かつて、文部省派遣のある音楽指導員が夏期音楽講習の際、述べたことが記憶に残っているそうだ。
 <「沖縄の琉旋法の音階は本土の雅楽の中にある律旋法の音階や、陽旋法(田舎節)、陰旋法(都節)等の音階、それに、支那(中国)大陸における呂旋法の音階の構成とは全く異なり、沖縄独特な旋法のような感じがする。その理由は、琉旋法の音階の中には、西洋音楽では昔から人間の充たされぬ心を表わす音として最も忌み嫌われている「ヘ音、ロ音」(ファ、シ)の増4度の音程、即ち、「悪魔の音程」を沖縄の民謡の中では好んで使われているから珍しい。」と話しておられたことが、印象に強く残っている。…

 「ファ、シ」の増4度の音程が、人間の充たされぬ気持ちを表現する音程とするならば沖縄の過去の歴史の中にそれを求める土壌がなければ生まれなかったであろうと考えられるからである。(新崎善仁著『八重山民謡の考察』)>

             

 そう言われれば、「ファ・シ」は半音のためか、なにか不安定な感じがする音である。

なぜ琉球音階が、忌み嫌われている「ファ、シ」の哀音で作られているのか。沖縄の人々がなぜ心の表現として、「ファ、シ」の哀音を求めたのか。そこには、それを生みだした歴史的な土壌がある、と新崎氏は見ている。

<思い当たる節がある。即ち、1609年慶長14年(尚寧時代)に島津藩の侵攻を受けた歴史がある。

 史実によると、その当時の沖縄の社会は戦乱のあけくれで、人々はその渦中に巻き込まれ不安と失望で動揺し、日々苦悩の日を送っていたと言う。…おそらく、慶長の琉球入の後の廃退した社会環境の中で心の叫びとしてこの哀調を帯びた琉旋法のメロディーが、謡われるようになったのではないかと推考される。(新崎善仁著『八重山民謡の考察』)>

<おそらく、当時の沖縄の社会は混乱にあけくれて、かかる不安動揺の世相の中では、…人々は、ただ日々の苦悩と忍従を強いられ、自らのみじめさを哀み、「ファ、シ」の音で心を癒していたにちがいないと思われてならない。(同書)>

<かかる不安な社会情勢の中では、音楽にしても到底、希望に満ちた明るい音は求められるものでなく自ら哀調をおびた「ファ、シ」の音階の歌を口づさみたくなるのも当然のことと言えよう。(同書)>

沖縄独特の音階には、王府時代からの沖縄が歩んできた歴史と社会的な背景があるという指摘は、とても興味深い。

(終わり)
 


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