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レキオ島唄アッチャー

「かいされー」の元歌は八重山の「しゅうら節」、その2

 「しゅうら節」の音階の特徴

八重山民謡の「しゅうら節」のメロディーが、なぜ沖縄民謡「かいされー」へと発展したのか。新崎氏は「それには確かに音階の進行に魅力があったのではないか」と指摘する。
 <「しゅうら節」のメロディーを分析してみたところ、その音階は沖縄独特の文化といわれている琉旋法(ド、ミ、ファ、ソ、シ)の5音階のメロディーで構成されていることがわかる。とりわけ、「ファ」「シ」の音を主体としたメロディーの進行は一段と哀調を帯びたメロディーをかもしだし、しかも各小節の区切りをまとめあげ、さお終止符の音を「ファ」で余韻を残しているところにこの曲の魅力があるのではないかと思う。


          

 もともと、琉旋法の特徴は「ファ」「シ」音を主体とした音の進行ではあるが、特に「ファ」音の終止は人間のあきたりない偲いの余韻を秘めているように思えてならない。しかもメロディーの進行の中での短四度、短五度の音階の飛躍は若者の心をいやがうえにも捉え、詩情をかきたてるのであろう。それが、若者の間では、しらずしらずのうちに遊び唄(しゅうら節)になり、後には沖縄の情歌「かいされー」等のような古典的な叙情豊かな音楽に創り替えられたのではないかと考えられる。(新崎善仁著『八重山民謡の考察』)>

新崎氏は「しゅうら節」「遊びしゅうら節」を五線譜に直して掲載してくれている。その音譜をピアノで弾いてみると、なるほど典型的な沖縄音階のメロディーとして響く。その秘密は、「レ・ラ」抜き、「ファ・シ」の音を主体としたメロディーの進行にあるようだ。

 

 なぜ八重山民謡が採り入れられたのか

 八重山民謡がどのように沖縄本島の古典音楽や民謡に採り入れられているのかについて、このブログでも「変容する琉球民謡」としてアップしてきた。

 新崎氏は、八重山民謡が沖縄本島に持ち込まれ沖縄化した事例を次のように挙げている。西表島の「真山節」が歌劇「伊江島ハンドゥー小」の主題曲「ハンドゥー小節」に、竹富島の「まざかい節」が沖縄の雑踊り貫花「武富節」(たきどぅん節)へ、「バナレーマぬ前ぬ渡」が琉球古典の「遊びションカネー」へ、石垣島白保の「しんだすり節」が喜歌劇「馬山川」と等々と数え挙げればきりがないとのべている。

 それにしても、沖縄芝居・歌劇の役者たちがこぞって、八重山民謡を採り入れアレンジしたのはなぜだろうか。新崎氏はその理由を次のようにのべている。

  <その一つは八重山民謡の中には、当時世にも悪税といわれていた人頭税の厳しい環境の中で耐え忍びながら生きてきた庶民の生きざまを謡ったものが多く、しかも物語りの風の歌が作者等の心を捉えたのだろう。また、今一つは八重山民謡には多彩な謡法と幅広い音階を兼ね備えたものが多く、しかも、変化に富んだメロディーが多い、恐らく、作者はそれに魅かれたのであろうと考えられる。言えることは、これら採り挙げられた題材はすべて当時の庶民生活に相応しい身近なものばかりで新鮮味に富んだ題材が多かったからであろうと考えられる。それにしても、当時の芝居役者等の感覚と発想の素晴らしさには只々頭が下がる思いがする。(新崎善仁著『八重山民謡の考察』)>
 八重山民謡は、古典民謡と言われるように、王府時代の厳しい生活と労働の中から生み出された歌であり、多彩で変化にも富んでいる。沖縄本島の役者らにとっても、とても新鮮な刺激と感銘を受け、沖縄芝居・歌劇に相応しい題材として、採り入れられたことがわかる。

 八重山民謡の音楽的な特徴については、次回にもう少し詳しく見てみたい。

 

 


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