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レキオ島唄アッチャー

「かいされー」の元歌は八重山の「しゅうら節」、その1

「かいされー」の元歌は八重山の「しゅうら節」
ー「変容する琉球民謡」続編ー

 沖縄民謡の名曲に「かいされー」がある。早いテンポとゆっくりしたテンポの二通りある。この曲は、もともと八重山民謡の「しゅうら節」だという話を最近聞いた。
 
 新崎善仁著「沖縄の民謡『かいされー』とその素性を探る」という論文を読む機会があった(『八重山民謡の考察』)。新崎氏は「かいされー」のメロディーが、どこか八重山民謡の「赤馬節」のチラシに登場してくる「しゅうら節」によく似ているという。
 「赤馬節」は、八重山では祝儀歌、舞踊曲として、最初に演奏する習慣がある。曲名の由来として、その昔、赤毛の名馬がいてその噂が首里王府にまで聞こえ、国王に献上することになり、別れの時に作られたというエピソードがある。でもいまは別の歌詞で歌われる。
 私が通っている八重山民謡サークルでも、毎回、最初に「赤馬節・しゅうら節」とセットで演奏するので、馴染んでいる曲である。「しゅうら節」は八重山では嫁をめとる際の教訓的な歌として祝宴の座開きのおめでたい歌「赤馬節」とセットして弾かれることが多いという。
 いつもお祝いの歌として演奏するので、情歌の「かいされー」と似ているとは、まったく想像しなかった。「しゅうら節」は本調子、「かいされー」は三下げの調弦で歌うので余計、印象が異なっているのかもしれない。でも、実際は深い関連があるという。
 「しゅうら節」と「かいされー」との関係については、すでに普久原恒勇編の『沖縄の民謡』の中で指摘し、解説されているという。新崎氏の引用から紹介する。


           

 <『その歌(注・「かいされー」)は一名「じんとよー節小」といって、沖縄本島では昔から「遊び唄」として広くみんなから親しまれてきた歌である。歌詞は一定のものではなく、その時、その場に応じて即興で歌うことを建て前とし、正しくは「かいしゃ」という八重山の方言の「美しい」という意味であるが、いつのまにか沖縄方言になまって「かいされー」と呼ぶようになったということである。元歌は人間は美しいだけでいいというものではない。また、美しいからといって美しさだけにほれてはいけないよ。もっと大事なものは心だよ、と美人であることを鼻にかけた女を皮肉っている歌である。この歌のよさは即興で歌われるだけに風刺に富んだところにあるといわれている。

  その曲そのものは八重山民謡「赤馬節」の「チラシ」に出てくる「しゅうら節」であるが、そのメロディーが、いつのまにか沖縄本  島に持ち込まれアレンジされて「遊び唄」の代表的な歌として定着し、今では、強いて八重山民謡だ!とはきめつけられない程、沖縄化し、本島での遊び唄になっている。』
(新崎善仁著『八重山民謡の考察』)>

           
 新崎氏の指摘を読んで、初めはどうも似ている気がしなかった。だが改めて、「しゅうら節」と「かいされー」を比較し、三線で演奏してみると、なるほど、メロディーラインはよく似ている。「かいされー」は、ゆっくりした演奏では、とても味わいある情歌である。一方、早いテンポでは、「ナークニー(宮古根)」「本部ナークニー」とセットで演奏される「遊び唄」である。かつて、若者らが野原に集い遊んだという「毛遊び(もーあしび)」では、歌三線に欠かせない曲だったという。

 「かいされー大会」も開かれている。南城市の大里城址公園で922日にあったばかりだ。南城市を詠んだ琉歌を「かいされー」の曲調にのせて歌三線を奏で競う大会である。南城市とどんなかかわりがあるのかは知らない。
 「かいされー」を歌う人も、元歌は八重山民謡だと知る人は少ないのではないだろうか。

 

 竹富島の「遊びしゅうら節」

 八重山の「しゅうら節」にも、「遊びしゅうら節」(竹富島)という曲があるという。新崎氏は次のようにのべている。

 <竹富島の喜宝院の住職上勢頭同子氏の話によれば、竹富島ではその昔、教訓歌「しゅうら節」のメロディーがあまりにも叙情的であったためか当時の若者等はその哀調帯びた旋律に魅せられ、いつしかそのメロディーが若者の偲いを秘めた替え唄(遊び唄)として定着し、大正の頃までさかんに謡われていたという。島ではその歌を「遊びしゅうら節」と呼んでいたという。

  あくまで私見ではあるが、普久原恒勇氏編の『沖縄の民謡』の中に記されている「かいされー」の解説と竹富の「遊びしゅうら節」の内容等を比較検討してみると、その「遊びしゅうら節」がひょっとしたら沖縄本島に「遊び歌」として、持ち込まれた情歌「かいされー」歌へと発展したのではないかとも考えられる。なぜならばその理由(わけ)は「かいされー」という言葉のもち意味が「遊びしゅうら節」の句の中にある「美さんでぃ、美さにふりるな」という歌詞の「美さんでぃ」の言葉が沖縄方言になまって「かいされー」と発音されたのではないかと推測されるからである。(新崎善仁著『八重山民謡の考察』)>


 新崎氏は結論として次のようにのべている。

 <「しゅうら節」は、元々、嫁をとる際の教訓的な歌として八重山では祝宴の席で「赤馬節」のチラシの音曲として広く親しまれてきた歌であるが、その哀調帯びたメロディーが若者の心を捉えたのかいつのまにか遊び唄として若者の間に流行り、それが沖縄本島に持ち込まれた今では八重山民謡とはいえない程、古典的な沖縄の情歌「かいされー」に大きく様変わりしているのに目を見張るものがある。(同書)>

 沖縄民謡に「シューラー節」という曲がある。「ヤッチャー小(グヮ)」のチラシとして速弾きで続けて演奏される。八重山民謡の「しゅうら節」とは、まったく旋律も歌詞も異なり、同名異曲であるらしい。

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