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レキオ島唄アッチャー

不思議な三線の「尺」の位置(下)

 「三下げ」では 

 これまでは、調弦が「本調子」を前提とした話だったが、女弦が一音低い「三下げ」「一、二揚げ」の場合も、やはり同じ高さの音を別の表記とすることがある。「三下げ」では、女弦の開放絃の「工」は、中弦では「尺」、それも「低い尺」と同じ高さとなる。だから「三下げ」曲では、「尺」めったに使われない。多分、「工」を使えばよいからだろう。

ただ、本島民謡では「嘆きの梅」や「アンマー形見の一番着物」など「尺」が使われる曲がある。とくに印象強いのは「懐かしき故郷」である。この曲での「尺」は、「高い尺」を使うのがよいと思う。

 同じ音で異なる表記があるといえば、「下老」の位置もそうである。「本調子」で「下老」は「四」と同じ高さである。「ファ」にあたる。しかし、「本調子」で「下老」を使う例は寡聞にして聴いたことがない。
 よく「下老」を使うのは、調弦が「本調子」から中弦を一音揚げた「二揚げ」の曲が多い。「二揚げ」では、「老」は使わないで「下老」がよく使われる。沖縄民謡の「浜千鳥節」「白鳥小」はじめ、八重山民謡の「夜雨節」「古見ぬ浦節」など多数ある。「二揚げ」の場合、「下老」は中弦の開放絃の音よりも低く、同じ高さの音はない。だから、何も迷うことがない。

「沖縄島うたポップス工工四集」
       
                        『沖縄島うたポップス工工四集』から

 もう一つ、同じ高さの音の表記で実際の演奏では異なる位置を押さえることがあるのは「七」「ファ」の位置である。「本調子」の場合は、「六」「ミ」から半音高い「七」の位置でよいが、「三下げ」の場合は、通常、さらに半音高い「高い七」つまり「♯七」の位置となる。八重山民謡でも同じく「♯七」を使う。ところが、工工四(楽譜)では、「七」としか表記されていないからややこしい。

 以前、沖縄民謡サークルで「世宝節」を歌った際、「♯七」を使って歌っていると、後から先輩のおじいが「いま押さえていた七の位置は違うよ。もう一つ下の七を使わなきゃいけないよ」と注意を受けたことがある。でも、プロの唄者の演奏をCDで聴いても「♯七」を使っているので納得がいかなかった。


 八重山民謡のサークルでも、私の演奏する姿を見た先生から「七の位置が高いですね」と注意された。「えっ、まさか」とにわかに信じられない。でも先生が言うのだからその場は従った。でも、「与那国ションカネ節」など、「低い七」では音楽としておかしく聴こえる。やはりCDで聴くと「♯七」を使っている。別の八重山民謡の教師の知人に聞くと「♯七」を使うべきだと言う。これも、工工四に表記しないから起きる問題である。
 まあそんなこんなで、沖縄の古典や民謡では、悩ましいことがあるということ。でも、これらは長年にわたり先人たちが創り上げてきた音楽の表現である。それはそれで意味のあることだろう。西洋音楽の考え方を基準にしてあれこれと言うのは控えるべきだと思う。


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