レキオ島唄アッチャー

「底」の字がつく民謡の不思議、その1

 八重山民謡を歌っていると、「美与底」という言葉に出会ったときは戸惑った。字が読めないし、意味が不明だから。「みゆしく」と読む。例えば「古見ぬ浦のブナレーマ」に出てくる。歌詞の解説を読んでも、「古見の異称」としか説明がない。これでは、異称だということはわかっても、何を意味するのかまったくわからない。そんなとき、外間守善著『南島文学論』を読んでいたら、「スク」と呼ばれる地名について論述されていた。なにか、少し「底」の字がついている意味が分かってきたような気がする。
 八重山民謡では、「底」の言葉がどのように使われているのかを見ておきたい。

 「古見ぬ浦節」 
 まずは、八重山民謡の名曲「古見ぬ浦節(くんぬーらぶし)」である。古見は、西表島の東側にある古くからの集落である。
 古見ぬ浦ぬ 八重岳(やいだぎ) 八重重び 美与底(みゆしく)
  いてぃん 見欲しゃーばかい
 (古見の浦から見はるかす八重岳よ 八重に連なる美与底よ 何時までも眺めていたいものだ)
 「美与底」を「美与城」と書く人もいる。発音は同じである。「底」(しく、すく)は「城」(グスク、スク)とまるで異なる言葉のように見えるが、通じるものがあるらしい。
 西表島はまだ行ったことがない。18世紀半ばの古見は、人口700人以上を数える大きい村だったそうである
           
 波照間永吉氏は、この古見と歌の関係を次のように解説している。
 <西表島東部にある集落。八重山でも有数の古邑で、古くは八重山の文化・経済の一つ の中心地として栄えたが、現在は激しい過疎の波にあらわれ、寒村化してしまった。古見は北方に470m の古見岳、西方に421m の御座岳をひかえ、これらの山に連なる山岳がすぐ背後まで迫っている。また、村の前後には前良川、後良川の二河川が流れている。このような立地を「古見の浦」(『南島歌謡大成IV』節歌43 ) は、「古見の浦の 八重嵩。八重かさひ 美よ底/ いつん みほしやわかり」〈古見の浦の八重嵩、八重に山の重なっている美与底。いつも見たいものだ〉と歌っている。(「八重山歌謡にみる地名」)>
 美与底とは、古見村の同義語で対語として使われている。字句通りみると、景観が美しいところだろう。「底」とあるから、海も美しいという意味なのかと思ってしまう。でもそうではないようだ。



 

         

スポンサーサイト

八重山民謡 | コメント:1 | トラックバック:0 |
<<「底」の字がつく民謡の不思議、その2。「古見ぬ浦ぬブナレーマ」 | ホーム | 上陸記念碑に見る万次郎の足跡、その4>>

コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018-03-05 Mon 23:59 | | [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |