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レキオ島唄アッチャー

「カニクバタ」は異名同曲がいくつもある

  琉球放送(RBC)の人気長寿番組「民謡で今日拝なびら」で年末の2017年12月27日、興味深い放送がされた。番組に「にんぐるまーと」という曲のリクエストがあった。上原直彦氏は、これをきっかけに、この曲が宮古島と沖縄本島で歌われる3曲の旋律がとても似ているといって、3曲を比較して流してくれた。

 「にんぐるまーと」は、沖縄本島で歌われる「遊び歌」で、歌詞は即興で歌うのをよしとするので、歌う人によって歌詞が異なり、決まったものはないという。

 「にんぐる」は、日本語の「ねんごろ(懇ろ)」からきていると思われる。「ねんごろ」は、「大切、丁寧、睦まじくする様」をいうので、「男女が情を通じる、愛人」という感じではないかと話した。



 「帽子くまー」というアダン葉の帽子を編む情景を歌った曲では、「にんぐる小(ぐゎー)どぅ すんなあ」(愛人になるか)と歌う。同曲中で妻は「とぅじ」と言っており、「にんぐる」は妻とは異なる「愛人」を意味しているようだ。

 伊江島の歌「ましゅんく節」でも「ヨーテ なにんぐるにんぐるにんぐるにんぐる 抱ちょて」と歌う。『由絃会教本の解説』では「めいめいの愛人、恋仲同士が向き合って」と説明している。

 与那国島を代表する名曲「ドゥナンスンカニ」でも、「なんたはままでぃんや とぅじにうくらりてぃ やてぃくあがりざき にんぐるぬ たまち」(波多浜までは妻に送られて 屋手久(地名)東崎は彼女の持ち分だ=「与那国島の自然と伝統文化」HPから)と歌われており、「にんぐる」の言葉は、与那国まで使われたことが分かる。


 上原氏は、宮古民謡の「かにくばた」がとてもメロディが似ているとのべ、放送ではまず国吉源次さんの歌で「かにくばた」を流した。

 次に、「にんぐるまーと」を嘉手苅林昌さんの歌う50年ほど前のレコードを流した。メロディは本当によく似ている。曲の旋律が似ているだけではなく、決定的なのは、軽快で特色ある「歌持ち」(前奏)がソックリであること。さらに、「にんぐるまーと」の題名が入った特異な長い囃子がほぼ同じである。これは、まさしく異名同曲というべき存在である。


      
      「民謡で今日拝なびら」2017年12月27日放送

 上原氏は、「どちらが先なのか詮議できないが、メロディは沖縄的(沖縄本島的)、琉球旋法である」と言う。民謡のはやり歌は、宮古と沖縄本島は交流があるから「ごっちゃになったのだろう」とものべていた。

 注・琉球旋法
 通常、琉球音階と同じ意味で使われるようだ。
 琉球音階はよくレとラを除いたド・ミ・ファ・ソ・シ・ドの5音で構成されると聞く。でも「沖縄において伝統的にもっとも多く使われてきた音階は、この5音にレを加えたド・レ・ミ・ファ・ソ・シ・ドの6音で構成され、山内盛彬により嬰陰旋法と呼ばれている音階」(ウィキペディア「琉球音階」)だという。

 

 ラジオ番組では最後に、松田弘一さんの歌う「高離節」を流した。こちらは、「かにくばた」「にんぐるまーと」ほどには弾まないが、特色ある前奏の旋律も歌の旋律もよく似ている。やはりほとんど異名同曲と言ってよいと思う。

 上原氏は触れなかったが、実は八重山古典民謡にも宮古の「かにくばた」(兼久畑)と同じ曲名の歌がある。これはどう見たらよいのだろうか。それを含めて、次回から、曲名ごとにもう少し踏み込んで見てみたい。


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