レキオ島唄アッチャー

八重山の定納布と御用布、その1

人頭税で貢納布を織らされた八重山女性
 八重山の織物といえば、苧麻糸で織られた八重山上布が有名である。琉球王府の時代は、人頭税制度のもとで、15歳以上、50歳未満の男女に、納税の義務が課せられた。男性は主に米、女性は貢納布だった。
 八重山の歴史についての著作や史料を読むと、少しややこしいのは「貢納布」という用語とともに「御用布」という表現がよく出てくることである。時には、御用布と貢納布を同義語で使っていることがある。でも、明らかに異なる概念である。
 御用布(ごようふ)は「王府に納める布であるが、頭懸けの上納布とは別に、別に指定された布を特にいう」(『石垣市史叢書』解説から)とされる。
 先に沖縄県立芸術大学付属研究所の文化講座「八重山の歴史と文化」のなかで、「八重山の織物」についてお話をしていただいた織物作家の新垣幸子さんは、とてもわかりやすい整理をして話された。はじめにその講座の内容とその他の資料をもとに紹介したい。
 
 定納布は一般税、御用布は石垣島9村で織る
 八重山上布は、琉球王国時代は、布の密度によって上布、中布、下布に分けられていた。布の経糸(密度)筬(ブドキ、おさ)目は5~20算(よみ、舛)に分けられた。
 貢納布は、定納布と御用布に分かれる。
 定納布は、全住民への一般税で、白上布、白中布、白下布、白下々布がある。
 御用布は、(王府などから送られてくる)図案の「御絵図(みえず)」により織り上げる。
 赤縞(嶋)上布、紺縞上布、白縮布がある。赤縞上布は、紅露(くーる、自生しているヤマイモ科の植物で染める)やヒル木染めによる赤茶系の柄で、上、中、下布がある。
 紺縞上布は、藍染めによる柄で、上、中、下布がある。
 白縮布は白無地である。

 御用布を織るのは、最初、新川、石垣、大川、登野城の四カ村(石垣市の中心部)に割り当てた。あとから平得、真栄里、大浜、宮良、白保を加えた9カ村に割り当てた。離島は定納布だけだった。(蔵元から通行しやすい村に割り当てたのではないか)。
 御用布は、織り手への手間賃として苦労米があった。だが、実際には役人に中間搾取されて織り手には渡されなかったようだ。なかには、仕事として誇りをもってやっていた人もいたという。

 ここで改めて八重山の人頭税による貢納布の実態を少し見ておきたい。
 喜舎場永珣著『新訂増補 八重山歴史』では、「八重山の人頭税」として、以下のように記述している(要旨)。
 割り当てられた定額人頭税の総額は「沖縄郷土歴史読本」によると米2280石に定められ、内807石およびこれに対する口米①斗立②蔵役人心付および総高に対する重出米を「米納」とし、残り1473石やこれに対する口米は反布に換算え白上布1226疋、白中布46反、白下布2272反を毎年納額と定め、宮古・八重山とも反布納は政庁の都合によって一定率で前年指定して細上布・縮布や木綿布に換納することができた。
 (注)斗立とは年貢米1石につき1斗2升の出目米を加えたもの。蔵役人心付とは、宮古・八重山では1石につき8升ずつ加えたもの。…
 納額を割当てるには各村人口の多少や位置の便否等を参酌し穀物は各村の等級を上中下の3等に反布は上中の2等に区分して租税を負担する。…
 人頭税を課せられたのは15才以上50才以下の男女で、これを正男正女といい一括して正男正女または正人といった。正人はさらに居住村の村位と年令によって階級を異にし、また負担額もちがっていた。…
 年令による正人の4階級は次のとおりである。下々男女(15才―20才)上男女(21才―40才)中男女(41才―45才)下男女(46才―50才)…
 人頭税制度の裏面には免税といった特殊的な制度のあったことを忘れてはならない。免税の特典者を挙げて見ると、頭・首里大屋子・与人(ユンチュ)・蔵筆者・詰医者等は夫婦およびその子孫の中2人は免税された。(球陽によると正徳2年1712年免税実施)
目差は夫婦だけ免税・若文子・筆者仮若文子・仮筆者等は本租を納付した本人から3代までの子孫は2度夫賃だけ免ぜられた(以下略)
                      八重山上布
                     八重山上布
 
 八重山島仕上世例帳や御用布座公事帳によると貢納布は元文4年(1739)の頃は定納布(ジョウノウフ)と御用布に大別され、定納布は白上布・白中布・白下布の3種目で、御用布は紺縞上布・同中布・同下布・赤縞上布・同中布・同下布・17舛紺縞上布・20舛紺縞上布・紺縞細上布等10種目などを総称していたようであるが、その後御用布ならびに貢反布(貢納布)等改称された上その種類なども改善されてきたようである。…
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