レキオ島唄アッチャー

粟国島のヤガン折目、その8

 粟国島のヤガン折目と他の離島の祭祀との関係
 粟国島のヤガン折目と、沖縄の他の離島の祭祀との関係について紹介する。
 狩俣恵一沖縄国際大学副学長は、「荒ぶる神」(注・人に害を与える乱暴な神)について、八重山諸島の赤マタを含めて次のように述べている。
 ヤガンウユミ(折目)は、荒ぶるヤガンの神が、豊作と島びとの健康や幸せを祝福するお祭りである。荒ぶるヤガンの神の素性はわからないが、「粟国島の神」「粟国島に漂着した人の死後の霊」「粟国島の北の海から出現した神」などの言い伝えがある。
 また、ヤガンの神は、島びとの目玉をえぐり、鼻を削ぎ、妊婦を流産させ、害虫を大発生させて作物を枯らせるというから、本当に怖い神である。ヤガンの神は収穫感謝祭に現れるが、同様に収穫感謝祭に出現する八重山諸島の赤マタ神も荒ぶる神である。かつて、赤マタ神が暴れ出すと人々は逃げまどったが、それは赤マタ神のムチを受けた者は必ず死ぬと言われていたからである。
 ちなみに、ヤガンの神の姿は見えないが、赤マタ神は有形の神である。赤マタ神は、全身を蔓草で覆い、鬼・天狗のような怖しい仮面神である。また、日本神話の荒ぶる神の代表はスサノヲであり、今では、受験の神様の天神様(菅原道真)も、かつては荒ぶる雷神として怖れられていた(「粟国島のヤガン折目―荒ぶる神を祀る人々の精神性―」から)。

 武藤美也子氏(神戸女子短大教授)は、伊江島の大折目(ウプウィミ)との関連をのべている。
 粟国島の「ヤガン折目」は、伊江島の大折目と共通する要素がある。 
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                  伊江島の大折目(『目で見る大折目』から)

 沖縄の民話の研究者である遠藤庄治氏は、粟国島の「ヤガン折目」が、「伊江島の大折目行事によって伝えられた豊穣神である龍への生贄伝説とほぼ同じ性格を伝えていた」(『伊江島の民話』)と類似性を指摘している。
 粟国島の祭祀は「荒ぶる神を鎮めるためという由来伝承がある。しかし、調査した限りでの祭祀の目的は『島の繁栄祈願と村人の健康祈願・子孫繁栄』であった。ただ偉大な力持った外来神から島の豊穣をもらうという形は伊江島大折目と似ている」と指摘している。(「伊江島の大折目(ウプウイミ)―報告と分析―」)
    
 現在行われているヤガン折目は、荒ぶる神を鎮める要素は見えなくなり、「島の繁栄祈願と村人の健康祈願・子孫繁栄」となっているという。いつの頃からか、由来伝承の要素がなくなり、祭祀が変容をとげたのだろう。といっても、安里盛昭氏によれば、すでに紹介してきたとおり、ヤガン折目は「健康祈願、豊作、豊漁の祭りとして行われていたものが、中山(王府)の介入で別の祭りに作り替えられてしまった」と解釈している。それが史実と合致しているのであれば、荒ぶる神が見えない現在のヤガン折目も、古来の祭祀の目的と伝統の延長線上にあるということだろうか。興味は尽きない。
  終わり
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