レキオ島唄アッチャー

粟国島のヤガン折目、その6

 ヤガン折目のまとめ
 安里盛昭氏は、ヤガン折目という神行事の内容や由来譚、宣べられる神歌について詳細に記述した後、次のようにまとめをおこなっている(『粟国島の祭祀―ヤガン折目を中心に』)。
1、政治的統制で行われる祭りの準備(由来譚)
 ヤガン折目は親父(おやちち。与那城貴みキヨ)の加護のもと、健康祈願、豊作、豊漁の祭りとして行われていたものが、中山(王府)の介入で別の祭りに作り替えられてしまった。
 王府としては6月ウユミ(稲大祭)として大ウユミがあるわけで、それに代わるものとしては6月折目として麦大祭がある。なぜか粟国島では折目小、前ウユミといっている。  
                       4ヤガン折目
                       ヤガン折目(粟国村HPから)
 ヤガンウユミは古くはこの島の血縁集団による祖霊神を祀る祭りであったと思われる。
 しかし、この粛々と地人(村人)の中に根付いていた祭りを無視するわけにはいかなかった。
 新しく番所ができ村を統制するにも脈々と続いた神事(村人の心の糧)を一気に変えるわけにはいかず、なんらかのものを付け足すことが必要であった。それが由来譚である。村人を恐怖に陥れ先導する。どこでもあることである。
 高坂薫さんが例にとる『球陽』の「天地地変、人々の死、怪火」等々、粟国島の奇っ怪な事件(『沖縄の祭祀』「神歌からみたヤガンウユミ」)。そうでなくともその時期は「紫指し、妖怪目、カシチー」など村人を恐怖の陥れる材料が揃っている。
 それを利用しない手はない。だから恐ろしい話ができ上がってくる。王府統制の祭政一致の悪心を鎮める鎮魂譚としての話ができ、政に祭りが利用されることが起こり得る。

2、ヤガンの神アラバ神と祭りの政治の介入
 アラバ神を悪神として捉え、それを王府や北山が鎮めたという構図になるが、統率するお上は村人を守っているということをアピールしなければならない。
 しかし昔から伝わるであろう儀礼や神歌は村人や地人に世(ユー。豊穣)を与える大神として、人々の心のなかに浸透していることをウムイは伝えている。
 外間守善先生は『海を渡る神々』のなかで、「粟国島の神歌は、海からあがってきた神が足だまりにした海辺をアラ、アラバといい、その神をアラ神、アラバ神、神の霊力(シジ)をアラシジ、アラバシジと称し」、「島に豊穣と幸福をもたらしている」としている。
 また直接仲松弥秀先生から伺った話によると、スイミチは「満潮で上げ潮に乗ってアラバを伝ってやって来る世をもたらす来訪神である」ということである。
 それからしてアラバ神は悪神ではないことがわかる。
 その代わり尚巴志が三山を統一してからは今帰仁に訴えようが今帰仁は滅びてないのである。なぜ由来譚に今帰仁の話を付け加えたかったである。

 それ以前は按司がいて根人がいて根神としてのオナリ神による祖霊神を祀る祭りが行われていた。一番上の頂に按司が住みヤガンをクサテ(注・腰当、神様に囲まれた安心できる場所)として御願森に招聘した神を祭り、それがヤガン折目の始めであったからである。
 三山を統一する前は今帰仁に加護を受けた島であったかもしれない。そういうことならば村人の心の糧を中山(注・首里王府)としては無視するわけにはいかなかった。だから今帰仁を八重大仲のなかに祀ってその痕跡を残した。
 そして尚真王の代になり、聞得大君が祭りを統制することになる。その頃になると按司も中央に集められ権威が損なわれてくる。

                   ヤヒジャ海岸(粟国村観光協会)
                    粟国島のヤヒジャ海岸(粟国村観光協会HPから)

 その頃粟国ではティンナーニシ(6月頃吹く北からの突風・神風)が吹く季節で、難破する船がヤガンあたりであり、その乗組員の人たちがその海岸端に住み着くようになった。
 かれらはアマミキヨが五穀をもたらし神格化されたように、「真金、真玉、祭祀に使う太鼓」など島にとって世(注・豊穣)をもたらすものを運び神格化されてくる。そして海からあがってくる神、アラバの名を取ってアラバ神とした。
 祭政一致の構図を造るために公儀(王府)は祭りのシナリオを作っていく。親ノロであるノロクモイ(スイミチ)が浦原(ヤガン原)で逢いセジ(注・霊力)を受ける。
 この現状を演出するのが公儀ノロであり役人で掟(ウッチ)、捌理(サバクイ)であった。
 また最後のウムイ神遊びのウムイ「立ちウムイ」「ワガフシママニ」「ニシヌヒーター」などで復唱することで、ここに神を迎えた意味を強く印象づけるようにした。

3、ウムイからみえるウムイの継承年代(省略)
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