レキオ島唄アッチャー

伊江島の祭祀「大折目」、その5

  大折目は一種の海神祭
 武藤美也子氏は、祭祀を分析して次のように指摘している。
祭祀分析からこの大折目(注・ウプウィミ)は一種のウンジャミといって良い祭祀である。村史でも『大折目は豊作を祈願すると共にニライ、カナイの神々をもてなす祭りだとも云う。一つの海神祭ウンジャミである。』(『伊江村史』419頁)といっている。また『沖縄大百科事典』の「ウンジャミの祭祀目的は主にニライカナイの神々をことほぎ、村人への加護を願うところにある」(上巻336頁)とも合致する(「伊江島の大折目(ウプウイミ)―報告と分析―」)。

 「大折目」は3日間の行事であるが、4日目にも「ユッカシヌグ」が行われる。最初に伊江島の大折目を紹介する文章を読んだ時、大折目は3日間の祭祀だといいながら、4日目の行事があるのはなぜなのか、よくわからなかった。
これについても、武藤氏は次のようにのべている。
 「シヌグは邪気払いの要素の強い祭祀で、本島北部地域で行われている祭祀である。伊江島の4日目の内容をみても、アクチの枝とススキを砂の上に立てて祈ったり、虫流しをしたりと払いの要素が中心となっている。
 ウンジャミとシヌグは隔年で行われるところが多いが、伊江島では大折目(ウンジャイ)とシヌグが引き続いて毎年行われるところが特徴である」
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               儀式終了後、ヰイ祝女11名は今帰仁に向って祈る(『目で見る大折目』から)
 『琉球国由来記』は、伊江島の大折目に続いて、次のように記述している。「7月、日撰を以、シノゴ折目とて、御たかべ仕る。様子は、色々作物の品品に、虫不ㇾ付ための願に、高1石に付、雑穀2合完取合」(カタカナをひらがなに直した)。
作物の虫払いの願いの祭祀であることがわかる。

 ながながと伊江島の大折目を紹介してきたが、実は由緒あるこの祭祀は「ほとんど消滅した祭祀」となっているそうだ。
武藤美也子著「伊江島の大折目(ウプウイミ)―報告と分析―」は、1978年の大折目の報告、1994年の大折目の報告、1997年の武藤氏らの実地調査をもとに報告と分析を行っている。しかし、伊江島では1年の最大の祭祀であったが、武藤氏が後追い調査で訪れた2011年には「祭祀は全く行われていなかった」という。その理由について、「祭祀の衰退は、祭祀を執り行う神人の減少によるところが一番大きい」とのべている。
 伝統ある祭祀は、そこに暮らす人々が何を願い、何を拠り所として、どのように暮らし生きてきたのか、人々の精神的な風景、島の歴史や民俗、文化などを知る上では欠かせないものである。沖縄にはたくさんの由緒ある祭祀が残されているが、伊江島に限らず、伝統ある祭祀が変容し、衰退している例は少なくない。住民による伝統的な祭祀、行事を継続しようとする努力は続けられているが、それも時代と社会の変化の波のもとでは限界がある。とても寂しいことだ。そのなかでも、衰退した祭祀を記録し資料を保存して、後世に伝えて行くことは大事なことだと思う。
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