レキオ島唄アッチャー

伊江島の祭祀「大折目」、その3

 3日間にわたる祭事
 『伊江村史』から、この「大折目」の模様をより詳しく見ていきたい。
 1、ニャーグニの儀 
 第1日目の祭事をニャーグニ(庭踏み)という。初日明け方、シバと称する男性神職はウヤヌカーに沐浴し、「今日から4日や、大折目」と告げ歩く。
 全ノロが集合し、受け持ちの根所火神を廻ってお崇(たかべ)をする。
 大折目は豊作を祈願すると共にニライ、カナイの神々をもてなす祭りだとも云う。一つの海神祭ウンジャミである。
 (第1日目には、白装束のノロたちは、スィギンチャプイ(細長い植物の葉で作った冠)を頭に被り、手に弓をもつ。あるいは、ホールンチャプイ(ウドウン山から取ってきたカズラで作った冠)のみを被る。15名のノロが殿屋に向って整列し「ヤニャーユクマサイ」  (来年は益々勝る)と唱える。五穀豊穣を祈願する行事だという=伊江島教育委員会発行の『目で見る大折目』昭和53年度)

 2、メースィカンニャの儀
 第2日目の祭事がメースィカンニャの祭りである。「前スィカン庭」もやはり祭りをする広場ということであろう。初めは庭で魚釣の仕草をノロがやるが、それは古代人の唯一の食べ物であった魚がよくとれるようにと云う祈願からきたものであろう。
 殿屋での儀式には初日と変わって、立ノロ、居ノロが向かい合っていないで、立ノロが居ノロの後ろに立つ。初日の対立的なものから、協調的な祭りの雰囲気に変わってきた。祈願力によって折伏という場面である。
 
 3、ニライ神送り(3日目を総称して大折目という)
 イ、祝女(ノロ)馬揃い
島では3日目を重く見ている。大勢頭ノロの東側に大アタイと云う畑地がある。ノロ馬がアタイに集まってくる。馬揃いである。ノロが白装束で集まり富里に向け出発する。
 ロ、富里祭儀
富里に拝所があって、一対の火神が崇められている。東と西の火神をとおしてニレ(注・ニライ・カナイ)の神を歓待する祭事を行う。火神は古代信仰ではニレの神の使者だと云い、分身として崇めている。
7品7御膳の御馳走が火神に供えられ、ノロが祈願する。神遊びの舞踊がある。魚釣りの儀式でノロ行事は終わる。

 ハ、城庭への馬行列
 富里の儀式がすむと、城庭での儀式に馬で移動する。麓から城庭まで急坂を登る。
最初に出る馬3頭を「はらし馬」、次の10頭を「ブリ馬(群れ馬のこと)」という。最後に残る4ノロに7品1膳の振舞が出される。儀式がすむと4ノロが馬で出発する。「ンデ馬」という。しんがりの意である。現在馬行列はない。ノロは歩くか車で来た。

 ニ、阿良浜祭儀
 折目のクライマックスとも云うべき遠来神を送る祭事が夜にかけて行われる。
山を降りる時ノロは松明(タイマツ)を点して、今帰仁城に向って合図する。向こうから応答の烽火があがる。大折目を無事すまし、これから最後の行事であるニレの神のお送りに移りますという知らせの火であるという。今日は松明はともさず遥拝をしている。
城庭を降りる途中の上サビ毛で魚釣の祭事を行う。
  阿良浜に降りて全ノロが揃って、ニレの神を送る神事を行う。浜の揚げ舟を使い、その周りをオモロを口誦し舟べりを叩きながら7回めぐる。ニレの神の航海安全を祈る神事である。舟はナイク舟という。ナイクを乗せて竜宮に行く舟だからである。
7回廻り終らないうちに、ノロの馬持ちがきて各自のノロを馬に乗せ、馬を走らせ村内に向かう。これで送りの儀は幕を閉じる。その寸前にナイクと称する少女2人が、馬に乗せられて連れ去られる。全ノロも後を追うように逃げ去る。 
        img029.jpg
                船べりを叩きながら船の周囲を7回廻る(『目で見る大折目』から)
 ホ、ナイク連れ戻し
 ニレの神は美しい少女が好きで毎年2人を竜宮に連れて行ったという。一種の生贄である。初めはノロ門中(注・ムンチュウ、男系血縁組織)から出していたが、ノロ側と捌理(サバクイ、役人)側と隔年交代で出すしきたりになった。後世、策者がいて儀式の最中にひそかにナイクを奪い逃げたという。少女2人が若者2人に略奪されると、ノロは神の怒りを恐れてナイクを探しに行くという口実で、部落内に逃げ込む。
 元来、福をもたらす神として信仰されているのに、当島では逆に略奪者風に伝えられている。

 ヘ、ニレの神の来遊
 大折目になると神がのりうつり、君ノロは海上安全、五穀豊穣、魚類自由採食を授けるため、ニャーテヤの積石お嶽(石を野積みにしてお嶽にしてある)に越してアオヤバナガナシ(神名)に化身して、衆生から祝福を受ける。これをニレの神といった。
 富里庭及び押上森頂(城お嶽)に登ってオモロをあげ、城庭で神遊びをなし歓待をうける。霊域で化身した君ノロが踊る。

 ト、ナイクの行方
 神遊びがすむとニレの神は送りを受けられ、指定されていたナイクも君ノロから洗礼を受ける。神のたね子となる。俗世から絶縁する。神子として錬成を受け、ニレの都に送られる。
 以上は『伊江村史』の「第4篇歳時記」の「大折目(ウプウィミ)」の項からの抜き書きである。
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