レキオ島唄アッチャー

伊江島の歴史から、夫役銭

年貢以外に納めた夫役銭
『伊江村史』の伊江島の歴史の紹介の続きである。

 地頭に納める年貢の外に、作得夫役銭を納めなければならなかった。夫役銭に二種ある。一つは王府に納める日用(ヒヨウ)銭であり、一つは地頭に納める作得夫銭である。これは一種の人頭税とも云うべき性質の頭割(づわり)に徴収された。対象は百姓中番所役人及筑登之(チクドゥン)以上の有位衆、祝女(ノロ)と廃疾の者を除いた15才以上50才以下の男女に課した。その起こりは夫遣(ブツカイ)といって、地頭が領内の正頭夫(注・王国時代租税を負担する者の称)を徴発使役したことから始まる。
 1680年(尚貞王)庸役銭制度を定め、これまでの現夫遣に代って金銭で代納することになった。名目も日用銭と改め正頭夫1人男は1貫文(2銭)女は500文(1銭)とした。実施に当って土地の遠近による分下げ制を立て公正を期した。
 伊江島の場合、7分夫の3日半であるから男は3貫500文(7銭)で女は1貫750文(3銭5厘)になる。年にして男は42貫文(84銭)女は31貫文(42銭)になる。
 賃金の倍率からみると、男の年間の夫役銭(日用銭)は8万4000円、女は4万2000円である。
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                 首里にある伊江殿内庭園(国指定名勝)

 全島の日用銭を試算する。合計で897円12銭になる。10万倍(貨幣価値を換算、本書刊行時は1980年)すると8971万円になる。凡そ9千万円は王府に納める分である。
 次に地頭に納める知行夫について説明すると、男女の正頭が年1日の使役と定められている。両惣地頭では29円90銭4厘になる。それを換算率10万倍で換算すると約300万円になる。
 この両方の夫役銭(日用銭)9300万円を現金で納めることは、当時の貨幣流通からみて地方では無理である。それで現金に代わる現物で納めた。それも換金に容易な作物を出したので伊江島では砂糖を主としそれに雑石で納めた。そのため各間切島では諸品定代帳(公定価格)を備へ価格表を示して、これに照らして清算したようである。実市価より大変安く示されていたという。この定代帳の値段は明治廃藩まで改訂されず200年間用いられたので百姓の苦痛は大変であったらしいと史家は述べている。 
             
 地頭家で奉公した伜者(かしむん)
 (伜者)これは地頭が領内から徴用した雑役夫のことである。寛文12年の手札改帳からみると35人という実数である。両総地頭家に常時47人の伜者が奉公人として働かされたようである。
 奉公人には部屋が与えられ食事が支給されるだけで、被服小遣往復の旅費にいたるまですべて自弁であった。奉公人はその能力によって仕事があてがわれた。庭の手入、掃除仕事。炊事。使い走り。農耕、殿のお供、かごかき、子守役などである。
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                            伊江殿内庭園
 その中でも子守役は学問のある優秀な若者が選ばれ期が満ちて帰島すると番所の文子(テキグ)になり段々出世して地頭代まで昇ることが優先的に約束された。
 一般の奉公人は男だけで三ヶ月詰であったようである。交代期が来ると順繰り送られこれと代って帰島が許された。しかし学問を心掛ける者は長期にわたり交代せずに居たという。そういう者は島の会所(ケージュ)で学問をした奉公人であって、義務的に徴用された者はさっさと帰った。会所とは将来おえか人(役人)になる目的で門閥の子弟を入れた一つの学習所であった。
 奉公中に主人の供をして旅役に登ると三功星をもらい出世が早かったという。守役や旅役の供をした者は功星を重ね2、30年もすれば先ずは地頭代になることが約束されたようなものである。奉公人の年令は20才台である。地頭代は大体50才前後であった。
 (日用銭と伜者は)夫銭の二重負担であり、間切島の生産活動を著しく阻害している。一地頭家で年間延7300人を使役している。これらの伜者が首里には常時約7千人もいたと云う。

 <注・伊江島では、年貢の外に、夫役銭があり、当初は夫役だったのが金銭で納めることとされた。それも、王府に納める日用(ヒヨウ)銭と地頭に納める作得夫銭の2種類があり、年額では多額に上ったこと。さらに、地頭家に徴用されて奉公人として働かされ、これらは島の百姓たちにとって重い負担となり、生産活動をも阻害したことが明らかにされている。> 
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