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八重山古謡にみる豊年祈願の歌

  八重山古謡にみる豊年祈願の歌
  八重山古謡のなかから、豊作に感謝し来る年、来る夏の世の豊作を願う歌謡の例を見てみたい。
  「ニガイフチ」の中の「結願祭願口」(石垣島川平村)は次のような歌意である。
「♪今年一年中願立をした諸作物は 万作を迎えさせてくださって 御結願(ケグガン)を上げられたので 来年の世は 勝る世を迎えさせてくださり 島の上に よい事だけをあらわさせてください」
 
                  
                  川平結願祭
 「穂ぬ願い」(平得村)は、5月に稲の穂が出たら、穂を願い、長穂、大穂をもたらしてくださいと願い、実入り世(豊年の世)を受けさせてくださいと願いを申し上げるという歌意の歌である。

  「アヨー」の中では、「正月ぬあゆ」(黒島)は次の歌意である。
「♪今日の日をもとにして ウヤキ世バナホレ 黄金日を スーリー世バナホレ 根にして 今年の世を祈願しよう 来る夏の世を手摺り(合掌)しよう 今年の世が稔ったら 来る夏の世が実入ったなら 誰が鳴響(トゥユ)み 誉めようか どれが名を取り誉めようか 大親神(ウフウヤガン)を鳴響ませる 島の世持(ユムチ、階級名)を鳴響ませる …名が取られるのがほしくて その果報を祈願する その願いを手摺り(合掌)する」と歌う。
  「来夏世(クナツユ)」とは「来る夏の世」のことで、夏は稔りの季節であり、豊穣の願いがこもった言葉である。
  ここでは、今年の世の豊年、来夏世の豊年を願いつつ、豊年になれば、誰かを褒め称えようと歌う。
 
  庶民の暮らしと労働の中から生まれたジラバ・ユンタにも、豊作や豊かな世への願いの曲がいくつもある。こちらの方が庶民の暮らしの中から湧き出る思いであり、心からの祈りである。
  ジラバの中では、「今日が日じらば」(西表島崎山村)は、次のような歌意である(以下ハヤシ略)。
「♪今日の日を 黄金の日を もとにし 弥勒世を 稔る世を いただき 弥勒世の 稔る世の お願い 思ったこと 願ったことを 叶えて下さい わたしでさえ 嬉しい 崎山村の 主の前(御役人様)は もっとだろうよ」
 豊作の世の願いをかなえてくれれば、貢物を積み上げ、私も嬉しい、役人様はもっと嬉しいだろうと歌う。

  「ながれくいじらば」(黒島)は次のような歌意である。
「♪今日の日をもとにして 黄金日をもとにして 大親神を崇べなされよ 守る神を崇べなされよ 来年の世を願いましょう 来夏世(クナツユ)を願いましょう 来年の世が稔れば 来夏世が稔れば 誰が鳴響(トヨ)ませるつもりか どれを名をとらせるおつもりか」

  「来年世(ヤニンユ)願じらば」(波照間島)は次のような歌意である。
「♪今日の日を 黄金の日をもとにして 来年の世を 来る夏の世を願う 白水を 甘水を願う 5日越し 10日越しにいただき 稔る世を 稔る世を願う その願い その果報を祈願する」
来夏世、稔る世を願う思いは、どの歌にも貫かれた太い流れとなっている。
ユンタには、豊作への祈願は少ない。
  黒島の「正月ユンタ」は、「アヨー」で紹介した「正月ぬあゆ」とほぼ同じ内容だ。
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