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八重山島の役人、私利を図る不正が横行

 八重山島の役人

 私利を図る不正が横行
 琉球王府の時代、八重山は天下の悪税・人頭税によって苦しめられた。それに加えてというか、役人の不正でさらに税が割り増しされるなどの悪行がまかり通った。その一端を八重山の古文書に記されている。
役人の業務遂行上、必要と思われる文書を書き写し、取りまとめた『万書付集(ヨロズカキツケシュウ)』を見ていると、八重山の役人多数を処罰した『手形(令書)』が目に留まった。
 処罰の事例として、たとえば次のようなものがある。
 「穀物・反布・諸品代米、残29石6斗7升4合2勺5才起の返納を申し付け、寺入り500日のはずだが、老体により、役を免じ,、◆(貝遍に賣)粟6斗先    宮良親雲上(ペーチン)」
 「穀物・反布・黒糖代米、残42石2升8合5勺6才起の返納を申し付け、役を免じ、桃林寺へ500日の寺入り 波照間首里大屋子(シュリオオヤコ)」 
 「穀物・反布・黒糖代米、残9石5斗7升5合3勺□□起の返納を申し付け、役を免じ、桃林寺へ400日の寺入り 与那国与人(ユンチュ)」
 
 首里王府の行政トップにあたる三司官から下され、それを嘉手納親雲上・与那原親方(ウェーカタ)が八重山島在番(王府から派遣された常駐官)に申し渡したものだ。
このように、一人ひとりに対する処罰は、合計62件を列挙している。
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          写真は石垣島の桃林寺
 なぜ、このような処罰を受けたのだろうか。
 「右は、各噯(アツカイ)村より穀物・反布・諸品等をみだりに受け取り、かつ、かすめ取などがあり、それぞれ御検使より糺し付け、所犯書をもって申し出があり、役々として万端を正道に勤めるべきところ、そのことがなく、このような次第は不届きなので、右の通り申し付ける。」(『万書付集下』)  
 「村より穀物・反布・諸品などをみだりに受け取り、かすめ取る」とはどういうことなのか。もう少し詳しく見ておきたい。
 「八重山島はしだいに疲弊してきたうえ、近年は飢饉や災害がうち続き、人口も格別に減少している。しかし、頭・役々たちの勤務状態が悪く、百姓らは農業を怠り、そのほか地域の風俗がよくないことから、年々追って疲弊が増していると(国王が)聞かれ、今回、御検使(王府からの臨時の役人)を派遣し、全体の様子を詳細に調査したところ、頭ならびに諸役人・筆者(書記官)たちが私利を図って不正を行ない、諸上納物の賦課・取り調べなどの取り扱いが乱雑となり、かつ、御用布・御用物・諸雑物など重ねて割り付け、かつ、内々の例といって穀物・反布・そのほかの諸品・野菜・肴などを我が儘にいろいろと要求し、かつ、村の諸費用・出高・夫役などが多く、そのようなことから百姓らは気力をなくして農業を怠り、いやましに疲弊が進むようにみえ、言語道断のことである。
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                   桃林寺の仁王像
 年貢など上納物の賦課と取り扱いが乱雑で、貢布や御用の品物など勝手に割り増しして納めさせたこと。穀物や反布から野菜、肴まで、わがままに無償で納めさせたこと。さらには役所での経費や役所に駆り出す夫役を多くするといった不正や不届きな行為があったという。

 さらに「今のようでは、しだいに疲弊を極めるようになり、年貢・上納・御用布・御用物などを調えることができず、ついに島中が立ち行きがたくなるだろうと、何とも問題至極である」と厳しく指摘している。役人の不正、非法を放置すれば、百姓がさらに疲弊し、必要な年貢、上納物も納めることができず、島中が立ち行かなくなることを恐れている。それゆえに、王府としても処罰せざるを得なかったのだ。
 現在の町村にあたる間切(マギリ)の長である頭や役にある者が、王府に上国する(首里王府に上る)際は、村々へ勝手に餞別と称して、穀物や反布をはじめ様々な者を上納させた。

 「八重山島の頭・役々が上国する時、頭は各間切の村々へ餞別として布16反ほど上納を命じ、役々は噯村へ村柄に応じて20~30反ほど調えさせ、かつ穀物の加勢を申し付け、そのほかにイリコ・刺参(ナマコ)・炭・薪木を、疲弊した小村へは相応の産物を無償で要求し、百姓たちは迷惑していると聞いている。近年、全体が疲弊して百姓たちが難儀しており、特別の取り扱いを仰せ付けられている折柄なので、この際、僅かでも負担にならないように取り計わなければならないのだが、その考えがなく、今のようでは百姓たちは、さらにさらに難儀におよぶであろう。」

 役人が困窮する百姓らに、高利の貸し付けをして、返済できなければ家屋敷や田畑まで没収することも横行した。
 「八重山島の奉公人(役務についている士族などをいう)たちが、滞在人や百姓らへの物資の貸付に、十割の利子を付けて貸し渡し、その結果(返済)がうまくいかなければ、家屋敷や田畑、または牛馬・衣類・道具などを取り立てる者もいると聞いている。すべて物資の貸付は、二割半以下の利子で遣わすのが規則であるのに、右のように一倍(十割)の利子、または質物を過分に取り立てては、借受人が、はたと迷惑するのはもちろん、王府の統治の妨げになり、はなはだよくないことなので、今後、右のような貸付は、法定の利子をもって遣わすよう、堅く取り締まりをすること。」
 高利で貸し付け取り立てるやり方が「王府の統治の妨げに」なると、取り締まりを求めている。
これらはいずれも『万書付集』(上、下)に記載されている内容だ。

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