レキオ島唄アッチャー

奄美返還の二島分離に反対、沖永良部島の歴史スケッチ

 二島分離の報道に反対運動が盛り上がる
 時代は飛ぶ。太平洋戦争が終わると、1946年1月29日、米軍は「奄美諸島は鹿児島県から分離し、米軍政の下に単独行政区に切替える」という通告を行った。大島郡は、沖縄県と同様、米国海軍政府の支配下に置かれた。
  奄美諸島は「臨時北部南西諸島」として沖縄県からも区別され、1950年11月には「奄美群島政府」となり、単独の政府が組織された。1952年、琉球政府が発足すると、琉球政府に合併されて、旧沖縄県に入ることになった。米軍政の下に、二転三転と目まぐるしく変わっていった。
  沖永良部島でも、1950年11月、米軍が大山にレーダー基地を建設し、米軍兵士が駐留を始めた。米軍基地は、73年に自衛隊に移されるまで23年間続いた。
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                  沖永良部島の田皆岬
 戦後の島民生活は、厳しい物価値上がりと食料不足に悩まされた。戦地からの復員や本土や満州(中国東北部)からの引き上げで島内の人口は急増した。戦争によって食料生産が減少し、さらに台風の被害によって主食の米、さつまいもがとれなくなったため、毎日の食料にこと欠いた。昭和初期から続いていた「ソテツ地獄」は戦後の昭和20年代まで続くことになる。
  1951年に入ると、サンフランシスコ講和条約の締結を前に、日本復帰運動が全郡で急速に盛り上がり、奄美大島日本復帰協議会が結成された。沖永良部島でも知名町・和泊町に支部が組織され、署名運動が始まった。
復帰運動は、奄美諸島の島々が一つの運動で結ばれた初の出来ごと。島民は「奄美」としての自覚に目覚め、99・8%の署名を集めて、日米政府へ訴え続けた。
  1952年9月、「北緯27度半以北の奄美諸島の施政権は日本政府へ返還」し、沖永良部島と与論島は分離するという情報が入った。全島民は驚き悲しんだ。「二島分離絶対反対」の運動が全島に広がった。和泊、知名、与論の町長は上京し、政府・国会、アメリカ大使館への陳情・嘆願を行った。
  ついに1953年12月、全郡民の悲願であった日本復帰が実現した。
  以上の歴史に記述は、先田光演氏著『沖永良部島の歴史』からの抜書きである。
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                         与論島の海岸
 
  奄美では、時代を表す表現として、琉球に服属する以前を「アマンユ(奄美世)」、琉球時代を「ナハンユ(那覇世)」、薩摩藩に支配されて以降を「ヤマトユ(大和世)」、米軍政の時代を「アメリカ世」と呼ぶ。島をめぐる歴史の変遷を象徴する言葉である。
  こうしてみてくると、沖永良部島は、琉球国と薩摩藩、日本政府と米軍政のもとで、幾度も翻弄され、さまざまな苦難をくぐってきた歴史をもつことが改めてよくわかった。
  島民の意識のなかでも、「沖永良部島は琉球・沖縄なのか、奄美・鹿児島なのか」というアイデンティティについての問いかけがあったと聞く。地理的な条件や歴史のなかで、そういう戸惑いも生まれたのだろう。復帰運動の中で、島民は「奄美」の自覚を持ったという。「奄美」の自覚の生まれたのがあまり古くないことに少し意外な感じがした。

  そういえば沖永良部島のテレビは、鹿児島と沖縄の両方の放送が見られる。
  いまでも、進学先や就職先で沖縄に来る人もいる。芸能分野でも、与論島出身の川畑アキラさんなど沖縄を拠点に活動している。沖永良部島の大山百合香さん(「うたしゃ」の娘さん)も、沖縄でも活動していた。
  沖縄闘牛で活躍する牛は、闘牛の盛んな徳之島育ちの牛がよくいる。闘牛アナウンサーで、自分も闘牛の持ち主である伊波大志くんは、よく徳之島にも出かけている。
  相撲界では、十両の千代皇は与論町の出身だが、沖縄の中部農林高校相撲部で活躍し、九重部屋に入って関取になったので、沖縄では郷土力士扱いをされている。
 
  琉球弧の島々は、本来は地理的にも歴史的、文化的にも相互に密接な関係をもっており、交流も続けられてきた。沖縄には、奄美諸島出身の人たちがたくさんいる。現に今回、沖永良部島に旅したグループの女性の一人は、夫さんが沖永良部島出身で、沖縄在住である。
  沖縄と奄美諸島はいま、人為的に所属県が分かれているけれど、そのつながりは脈々と続いている。奄美諸島のことをもっともっと知りたいという思いを強くした。

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