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「親見世日記」を読む。誓約書に血判を押させた

 誓約書に血判を押させた

 唐船に乗り込む人たちには、厳守すべき事柄を記した誓約書(誓詞)があり、それに血判を押すことを命じていた。
 6月20日付け「覚」は、次のように命じている。
 「今月22日、安里八幡(注・琉球八社の一つ)で血判をするよう命じられたので四つ時分(午前10時頃)に出席すること。なお、これまで血判を済ませてない者も出席して血判を済ませること。以上。
 6月20日 与那覇親雲上
 那覇筆者 親見世
 問役  御兵具役」

 9月20日付けの「覚」でも、「今度の27日に渡唐人数の血判が命じられたので、これまで通りに勤めること」という、津嘉山親雲上と里主、御物城名で達しをしている。
 9月26日付けでは「明日、渡唐人数の血判が、四つ時(午前10時頃)に始まるので、北谷王子と識名親方が辰半時分(午前8時頃)に那覇に来られる。そこでその準備をすること」と津灞親雲上が述べている。

 血判当日の9月27日付けでは、次の記述がある。
一、渡唐人数の血判があるので、御奉行様と堀喜平次殿、摂政、三司官の識名親方、御物城の崎山親雲上、御横目の津堅筑登之親雲上、今帰仁筑登之親雲上、筆者の長浜筑登之、問役の仲里筑登之と照喜納筑登之親雲上、親見世筆者の我那覇里之子、若筆者3人が出勤した。
  血判を押させる際は、薩摩の在番奉行や首里王府の摂政、三司官ら幹部が臨席している。それだけ重要な行事だったのだ。
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     がじゃんびら公園から見た那覇港
 血判を押させた誓詞は、どのような中身だったのか。誓書血判した起請文から要約して紹介する。
1、キリスト教は禁止されている、同教には感染しないこと。
2、琉球が薩摩の支配に入ったことを話してはならない。
3、薩摩の御用物(注文の品物)は念を入れて買いととのえよ。
4、武器の類を中国に売ってはならない。
5、唐から帰る時、出港の際は人数を確認する。唐人を飛び乗りさせてはならない。
6、私的な用事のため帰りの時間に遅れてはならない。
7、唐への往復の際、もし海賊にあったときは、船中の者でよく相談してそれぞれの部署で働くこと。 臆病で逃げてはならない。
8、右の条項を固く守ること。もし不行き届きがあれば罰を科す。
 これは、役人の起請文で水夫や従人等の文言は対象の差異はあるけれど大差ない(東恩納寛惇著「島津氏の対琉球政策」、『東恩納寛惇全集2』)。

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薩摩在番奉行所があった付近。史跡案内板がある(那覇市西町)

 10月19日には、いよいよ渡唐船に乗船することになる。
 その直前、10月17日にも次の記述がある。
一、渡唐御銀惣高勘定(総計算、注・中国に持ち渡る銀の総計算のこと)と残りの血判を親見世で行うよう指示があったので、三司官の識名親方が来られた。そこで問役の仲里筑登之を通じて御横目と御附衆に急ぎ連絡して、御横目の後醍院半左衛門殿と御附衆の春田喜右衛門殿が御越しになり、血判を行っていない者は親見世の2階で御評定所筆者の源河里之子親雲上が誓詞を読み聞かせて血判するように命じた。この時、大和横目の平安座筑登之親雲上と津堅筑登之親雲上が出勤して、これで終わって渡唐御銀惣高勘定も済ませた。

 琉球からの進貢使一行は、1船あたり100人から150人と制限されていた。だが大人数なので、全員の誓約と血判が揃うには時間がかかったようだ。乗船の直前まで、血判を押していない者に、誓詞を読み聞かせて血判を押させるよう命じている。

 10月19日はいよいよ、乗船である。「渡唐役者が乗船するので、摂政の北谷王子と三司官の具志頭親方と識名親方が那覇に来られた。…やがて御銀の積み入れと、乗船者の検査を行った」。
 10月23日には、二隻の渡唐船が出港した。
一、今日、両渡唐船が出港したので、(首里城への)早遣いとして問役の髙良筑登之が騎馬で登城して、下庫理当(注・したぐりあたり。王城の儀式を管掌し、国王への取り次ぎ役を担った)の取り次ぎで(国王へ)言上した。

 以上、「親見世日記」と關係史料を見ると、中国への渡唐船に搭載する大砲、鉄砲など武具の検査・確認をしっかりと行うこと。乗船する者たちには、鉄砲稽古を行うこと。さらには、海賊に襲われた場合、恐れず逃げずに配置について働くことなど、誓詞に血判を押して誓わせた様子が、リアルに伝わってくる。とても興味深い記録である。

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