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レキオ島唄アッチャー

獲得形質も遺伝する?

 NHKテレビで「シリーズ人体Ⅱ遺伝子第2集 ❝DNAスイッチ❞が運命を変え
る」(2019.5.11)を見た。 日頃、遺伝子などには極めて弱いのであまり関心はな
かった。でも見ていて、ちょっとひっかかったのは「親のDNAスイッチは一代限り
引き継がれないものとされていたが、それが覆された」という内容になっていた
からだ。
 「DNAスイッチ(エピジェネティクス)」とはなにか。「命の設計図と言われる遺伝
子には、いわばスイッチがあり、オンとオフを切り替えれば、その働きをがらりと変
えられる」とのこと。「すでに、がん治療の最前線では、そのスイッチを薬でコント
ロールする治療が可能に。そして、肥満などの体質を決める遺伝子から、記憶や
音楽などの能力に関わる遺伝子まで、全てスイッチがあり、コントロールできる可
能性が浮かび上がってきました。さらに、精子をトレーニングして、生まれくる我が
子へ優れたDNAスイッチを受け継ごうという研究まで始まっています」(NHKの番
組紹介から)。
 
 北極圏のある村では、メタボで心筋梗塞になる人が多い。その祖父の代に大豊
作だった。食べすぎると子や孫が普通に食べても肥る。DNAスイッチが変化し受
け継がれた。DNAスイッチがリセットされてない。

 「親が経験によって獲得した性質や体質が次の世代に遺伝することがあると分
かった」という。
 沖縄でも、親が肥っていると、子どもも肥ると言われるそうだ。これは、親の食生
活が影響して子どもも肥るのだろうと思っていたが、それだけではないらしい。
 ノーベル賞学者の山中伸弥氏は「「生死のDNAスイッチはいったんニュートラル
になるとされてきたが、その一部は残る可能性が示唆されている」と解説していた。
ただし、山中氏は「大胆な仮説」とのべていた。
 他にも、マウス実験により恐怖の体験が遺伝することを実証されたという。
 宇宙飛行士の兄弟がいて、弟だけ宇宙に滞在して変化を見たところ、宇宙に340
日いると9000以上のDNAスイッチが変化した。宇宙での環境の変化に対応して適
応できるように変化している。「DNAスイッチは未知の環境にもすばやく適応し生き
抜くために備わった仕組みなのです」とのこと。
 山中伸弥氏のメモは「「長い時間をかけて環境に適応する『進化』 短期間の環
境の変化を乗り越える『DNAスイッチ』→その組み合わせで人類は生き延びてきた
」と解説していた。
 
 これまで、「獲得形質は遺伝しない」ということが定説とされ、私も科学に詳しい
知人からそのように聞かされてきた。ただ、獲得形質がまったく遺伝しないという
ことには少し疑問をもっていた。戦後の急速な身長の伸びや時代によって顔の形
まで変化する事実は、食生活や生活習慣の変化などだけで説明できるのか、モヤ
モヤ感が残っていた。

 改めて調べて見ると、この番組で取り上げたような「親が経験によって獲得した性
質や体質が次の世代に遺伝することがある」という研究結果が発表されている。
 京都大学の西田栄介 生命科学研究科教授、岸本沙耶 同博士課程学生、宇野雅
晴 同特定研究員らの研究グループは、親世代に低用量ストレスを与えることで獲
得されるホルミシス効果(ストレス耐性の上昇や寿命の延長)が、数世代にわたって
子孫へと受け継がれることを発見しました(2017年1月9日午後7時に英国の学術誌
「Nature Communications」にオンライン掲載)。
 以下、研究の概要である。
 <生物学では長らく、後天的に獲得した形質は遺伝しないと考えられていました。
ところが近年になって、その通説を覆すような事象がいくつか報告されるようになり
ました。例えば、高カロリー食により肥満になった父ラットから生まれた娘ラットが、
通常食で育ったにもかかわらず糖尿病の症状を示すという報告が挙げられます。
このように、親が生育した環境によって子供の表現型が変化を受ける可能性が示
唆されているものの、それがどのようなメカニズムで生じるのかについてはほとんど
明らかではありません。
            獲得形質は遺伝 
                 同研究の概要から

 そこで本研究グループは、親から子へと受け継がれる生存優位性に着目し、寿命
・老化研究に広く用いられるモデル生物である線虫C. elegansを実験対象として、獲
得形質の継承メカニズムの解明に迫りました。
 その結果、親世代において、成虫になるまでの発生過程で低容量のさまざまなスト
レスを与えて育てると種々のストレス耐性が上昇すること、さらにその耐性上昇はス
トレスを与えずに育てた子世代や孫世代にも受け継がれることを見出しました。加え
て、オス親のみにストレスを与える場合にも、その子世代の線虫でストレス耐性上昇
や寿命の延長といった効果がみられることが明らかになりました。このことは、核内
でのエピジェネティックな変化が、獲得形質の継承に関わっていることを示唆してい
ます。>
 獲得形質の遺伝は、19世紀にラマルクの進化説で主張されたが、それは否定され
てきた。今後の研究の発展が望まれる。


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